カレーと憂鬱と時々電卓

元アーケードゲーム廃人で恐縮ですが、たまにカレーのことも書きます。

つば九郎が支持される理由

 上原、田澤が所属するレッドソックスワールドシリーズで世界一を手にしました。また日本のプロ野球界は日本シリーズで盛り上がりを見せています。だからこそ今回はこんな話題をお届けしようと思います。

 

 

 ネット上にはプロ野球の球団マスコット人気ランキングが様々な所で掲載されています。どのランキングでも一位はおよそ「つば九郎」です。そこで今回はつば九郎が支持される理由を考えてみました。

 

 

   通常球団マスコットは、広告塔としての役割を担っています。そのためキャラクターが持つイメージが重要とされます。その結果、スポーツマンらしい明るい性格と愛らしいビジュアルから構成されることが多いのです。このキャラクターこそが誰から見ても親しみやすいキャラクター像だからです。実際にプロ野球の球団マスコットを見渡しても、ほとんど全てが活発なイメージで子供から愛される模範的キャラクターです。これは子供ウケするキャラクターこそが良好なイメージという考えがあるからです。つまり一般的に球団マスコットは図らずとも主に小学生くらいまでの低年齢層をターゲットセグメントとしているのです。

 

 

    しかしつば九郎は少し違います。彼は決して子供からの支持に固執していません。むしろ彼に共感するのは、普段社会人として働きまくっている、立派な大人なのです。つば九郎のパーソナリティ理解する上で象徴的なものをWikipediaで見ることができます。

 

 

 

 好物は内臓系、ビールにニンニク。酒好きで、ビールと焼酎があればいくらでも働くと豪語する(ビールなら1ケース飲んでしまうほどの酒豪であるらしい。ただし瓶なら12本、缶なら24本1ケースなのでいずれなのかは不明)。新橋の立ち飲み屋で小切手を使い飲むほか、球場周辺でも飲むとの事。新陳代謝がよく、ビールをたっぷり飲み汗をかくのでいつも顔はつやつや。   (Wikipediaより)

 

 

 

 

     これを見て分かるようにつば九郎は、仕事に対するフラストレーションをアルコールで流し込むことで明日への活力にする働き盛りの世代、つまり30代後半〜50代後半までをターゲットセグメントとしています。これはマスコットが「子供に愛される模範的ヒーロー」という既成の概念からの見事なパラダイムシフトを遂げていることを意味しています。

 

 

    このパラダイムシフトがつば九郎の支持率を上げた大きな要因と思っています。なぜならつば九郎ターゲットセグメントこそがプロ野球ファンの中心層だったからです。

 

 

   近年若年層の野球離れが叫ばれています。近年のナイター中継の視聴者層を調べてもM2(35歳~49歳の男性)、M3(50歳以上の男性)が中心です。下記のサンプルは2012年09月21日(金) 日テレ 19:00-21:24 巨人セ優勝決定試合(巨人vsヤクルト)の視聴率です。

※バイアスを極力取り除くためサンプルはネットからランダムに抽出したものです。

 

世帯    KID TEN M1   M2   M3    F1 F2  F3
11.2  2.9   4.9  3.5   3.8  11.6  2.1 5.6 7.6 

 

 若者の野球離れは、サッカー人気やスター選手の不在等諸要因が考えられますが、いずれにしてもKIDS層に比べてM2、M3層の野球への関心が高いことが分かります。

 

 

 

 広告塔の役割を果たすためには需要が多く見込める層へのアプローチは欠かせません。プロ野球の球団マスコットが野球というスポーツを扱う以上、野球に興味のない層より野球ファンの層へアプローチする方が効果的なのです。つば九郎はセグメンテーションによって有効なターゲティングを行ったと同時に他マスコットとの明確な差別化を果たしたことが成功の要因ではないでしょうか。