「あけましておめでとうございます」に日本人の生産性の低さを見た
年始には、多くの会社で「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」という10秒くらいの挨拶が一人ひとり交わされます。挨拶自体は良いことだと思うのですが、ビジネスの現場においてこの一連のスキームが無条件に正当化されていることに違和感を覚えました。
問題なのは業務に与える影響です。このどうでもいい挨拶に我々は、一人当たり10秒の計算で、50人の事業所なら約8分、100人の事業所なら約16分浪費しています。所定労働時間内に全ての業務を終わらせるのであれば健全ですが、残念なことに、これだけの時間を浪費しておいて平気な顔で残業をしたりします。私が感じる違和感はこうした不健全なタイムマネジメントなのです。
そもそも日本人は時間が無限にあるという認識を持ちがちです。こうした認識が生産性を下げます。実際に日本人の生産性を見てみると、2012年における日本人の時間あたりの労働生産性は40.1ドルです。この数字は、アメリカの64.1ドル、フランスの59.5ドル、ドイツの58.3ドル等他の欧米先進諸国に比べてかなり低いです。他方で年間の労働時間は欧米の先進諸国と比べ200~300時間も長いのです。残念ながら日本はこのようにダラダラ働くということが正当化された社会なのです。
こうした低い生産性を改善するには、マネージャーが「新年の挨拶なんかする暇があったら仕事しろ」という姿勢を持たなくてはなりません。当たり前のことですが、人件費を削減するには無駄な残業を減らすことが一番手っ取り早いのです。だから業務が所定労働時間内に終わらない事業所では新年の挨拶などの不必要なことに時間を割いてはなりません。つまり「残業するなら挨拶するな」ということなのです。