カレーと憂鬱と時々電卓

元アーケードゲーム廃人で恐縮ですが、たまにカレーのことも書きます。

中国が安倍総理の靖国参拝に寛容な理由

 

 先日スパーニュースアンカー内で青山繁晴氏が靖国神社を詳しく解説するシーンがあったのですが、その中でチラっと出た話が興味深かったので少し掘り下げてみようと思います。

 

 

 

 昨年末、安部晋三首相が靖国神社に参拝しました。この行動の是非はさておき、首相の一見非戦略的に見える参拝に、日本のメディアも落胆の意を見せたものが多かったように見えました。しかし、これまでのところなぜか反日デモに躍起になる中国国内の様子が報道されていません。いつもなら中国国内のあまり品が良いとは思えない抗議活動がテレビに映し出されているはずです。

 

 

 

 実は中国国内では反日デモがかなり厳しく抑制されているようなのです。その理由は今年秋にAPECが中国で開催されるからだと青山氏は述べていました。APECには日本の協力が不可欠なので、中国が今回の件に関して寛容な態度をとっているのだそうです。しかし私がピンとこなかったのは、なぜ中国はAPECのためにそこまでするのか、日本が不参加になった場合一体なにが問題なのだろうかという点です。そこで中国がAPECのために日本に協力を仰ぐ理由をもう少し考えてみました。

 

 

 

 そもそもAPEC(エイペック)とは、貿易・投資の自由化・円滑化などの経済問題とともに、人材養成や技術協力などの分野についても積極的に取り組むための非公式なフォーラムのことらしいです。

 

 

 

 実はこの非公式なフォーラムに中国が力む理由は中国に深く根付いた文化が影響しているのです。多分。

 

 

 

 中国人は昔からメンツを非常に気にするらしいです。韓国・ソウル大学の教授でコラムニストの金蘭都氏によると、中国人にとってメンツの観念は民族的特性の一つだそうです。またソウルと北京、上海で自動車所有者を対象に行われた調査では、「自動車は社会的地位を表す」と考えている人の割合はソウルで44.2%だったのに対して、北京と上海では60%以上に上ったそうです。

 

 

 

 もう少し身近な所でみると、中国の世界一高いスタバです。中国のスタバのラテの「中杯」(トールサイズ)は27元(約450円)で、シカゴの19.98元、ロンドンの24.45元、インドの14.6元などより高く、しかもラテ1杯の原価を試算するとたったの4.6元です。こうした破格の価格設定にも関わらず中国でのスターバックスは好調なのです。

 

 実際にスターバックスの出店数をみると、アメリカが1万1000店、日本1000店、中国1000店と出店数を増やしており、また、2012年に500店舗を新規出店して拡大ペースを加速しています。さらに2015年までに1500店舗まで増やす計画のようです。「高くても喜んで買う」消費者が、まだ多く存在するようなのです。

 

 

 

 こうした「高いから売れる」というプレミアムブランド戦略が効くというのは、中国の富裕層は「メンツ消費」が多いので購入価格は高いほうが周りに自慢できる、という傾向があるからだそうです。

 

 

 

 このように中国の消費者行動を観察すると、「侮辱だ」と非難こそしていますが、実態APECの成功のためにデモを抑圧している今回の状況にも納得がいきます。中国にとってAPECは、アジアのリーダーが自分達であるということを外に発信する絶好の機会なので、そこでもし日本にそっぽを向かれてしまっては、「おいおいどうした自称リーダー、お前の力はそんなものか」とdisられ、どうしようもないくらい恥ずかしい思いをしてしまうのです。したがってここで過剰な反応を示すわけにはいかないということになるのです。

 

  

 

 

  これまでをまとめると、中国が靖国参拝に寛容な理由は「APECを成功させたい」と強く願うためで、そう願う理由は「メンツを守りたい」からなのです。そしてそのメンツを守る手段として、日本の協力が不可欠というのが今回の姿勢を決定づける理由だったのです。